5.情報調査力のプロフェッショナル―ビジネスの質を高める「調べる力」(上野 佳恵・ダイヤモンド社)
リサーチ本と言えば、こちらもすごくおすすめです。
著者は元マッキンゼーのリサーチャー。調査素人が実際に陥りがちな実例を交えながら解説しており、非常に読みやすくかつすごく勉強になります。
<要約>
2009年と少し古い本だが、マッキンゼーのリサーチャーも務めた著者のノウハウとリサーチに対する考え方がまとめられた名著。
コンサルタントなら誰しもリサーチの壁にぶつかったことがあるとおもう(小生もその1人だ)が、一度はミスしたころがある耳の痛いtipsがちりばめられている。作中でリサーチのプロとして「コンサルタントの村田さん」が登場するが、同じくコンサルタントとして、プロであることを再認識させられる限りである。
とにかく、少しでも仕事でリサーチを行うことがある方には是非ともおススメしたい1冊。
情報調査力のプロフェッショナル―ビジネスの質を高める「調べる力」
- 作者: 上野佳恵
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2009/03/13
- メディア: 単行本
- 購入: 3人 クリック: 216回
- この商品を含むブログ (11件) を見る
<本文抜粋&所感>
- リサーチの流れ
①知識ギャップの認識→②自分の情報源リストとのすり合わせ→③情報の取得→④検証・判断→⑤伝達→⑥自分の情報源リストの整備
①、②
- 調べるべきことは何なのか、ということをあらかじめ明確にしておかないと、余計な情報ばかりを集めてしまい、本来の目的に到達できるような情報が集まらない
→リサーチの前にどんな情報があればいいのかということを考えてそれを埋めていく。④外資コンサルのリサーチ技法でも同様の内容が書いていました。鉄則なのでしょう。 - リサーチを依頼。されたときには、(1)背景・目的、(2)詳細な内容、(3)納期、(4)予算を確認。
- ビジネスにおいて「調べる」ことが必要とされる領域は、実は限られたものであって、決して無限でとらえどころのないものではない
(1)企業(2)人物(3)業界・市場(4)消費者 - どんな市場の分析をするときも、まずは3CのうちConsumerとCometitor、つまり市場のストラクチャーと競合情報、顧客情報という枠組みで考えていくといい
→3Cは使い古されて陳腐化したフレームワークという話を聞いたことがありますが、とんでもないです。3Cという言葉が使われないだけで、基本的にコンサルの報告書はほとんどが3Cベースとなっています。 - 信頼が置ける情報源を自分なりにリストアップしておき、そこを必ず押さえれば8割OKというぐらいの気持ちでみていったほうが、効率から考えてもいいのではないか
- 目に見えない資料を探すよりは、集まった資料でどんなことが言えるのか、それを基にさらに発展させていくためには次にどのようなことを調べていけばいいのか、ということを考えていく方が得策です
→④でもありました。調査ではなく、示唆出しに時間をかけたいものです。 - 政府統計を見るにあたって注意すべき点は、調査の範囲と用語の定義
- リサーチの世界では、「一次情報」が最も信頼できる情報であり、何かを調べるにあたってはその入手を心がけるべき
- 時間コストと効率を常に考えていると、なかなか国会図書館には足が向かないものです。私が国会図書館に行くのは、2年に一度ぐらいです。(中略)業界団体などが設置している資料室は非常に利便性に優れています。
③、④、⑤
- ある程度の量・質の情報が手に入ったと思ったら、一度手を止めて集まったものをきちんと読み込み、その意味合いを考え、さらなる情報が必要なのか、必要だとしたらどのようなものがどの程度必要なのか、ということを見極め、次のステップに進みます。
- (リサーチ中に状況を聞かれたときに)「ちゃんと調べてますから大丈夫です」と言ってしまうのか、状況を説明して意見をもらおうとするのか。あなたの取る態度によって、Cさんの反応は異なり、この先の展開も変わります。
→「大丈夫です」というのは簡単で、状況を説明するのは難しい。しかし、聞かれたら必ず状況と考えていることを共有したほうが、効率が上がるに決まっている。必ず状況を共有するようにしよう。
⑥
- (調べた結果を並べただけの)報告では、子供のお使いにしかなりません。(中略)調べた者の責任として、何らかの結論、もしくは結論を下すための方向性を示すべきでしょう。
調べて集めた情報を丸投げするだけでは、ビジネスマンは失格です。
→情報を羅列しても受け取る側が、「結局何か?」がわからない。
リサーチの目的に照らし合わせて、「結果を踏まえて、XXということが言えそうだ」まで踏み込んで初めてリサーチが完了したといえるのだろう - データを見て単に「そうなのか」と思うだけではビジネスマンとしては失格です。そのデータが、自分にとって、自分の会社にとってどのような意味を持つのかということを自分なりに考えてこそ、初めて価値を持つのです。
- 「この会社はどうなの?」と聞かれたときに、リストに書いてある情報だけではなく、きちんと自分の言葉で説明できなくてはリストアップしたと言えません。
- 問題に対する答えを探して人に何かを尋ねるときは、自分なりの考えをもち、それを提示してみるべきです。
→コミュニケーションの真髄では。先ほどの報告の話もそうだが、相手に丸投げするだけではダメで、如何に思いやりを持って相手が気持ちいいようにコミュニケーションできるか、この点が大切な気がする。 - できれば一日でも半日でも早めに渡すようにしたほうがいいでしょう。
- リストの順番は自分の考える優先順位に並べ替える(中略)。そして、リストのほかに、どのような考えに沿ってどんな作業をしたのかということと、優先順をどのように考えたかという自分の考えをまとめたメモを作った
その他
- 東京都立図書館では、無料の「ビジネス・起業創業相談会」の紹介を行っている
→起業を考えている方向けの備忘として