50.頭がいい人、悪い人の話し方(樋口裕一・PHP新書)
タイトルを聞いたことがある人も多いのではないだろうか。
2004年と少し古い本だが、日本で22番目に売れた本らしい。
<要約>
小論文添削の指導者で知られる筆者が、小論文の添削経験と会話の観察経験から、まねするべき話し方は何かを説く。
本書の中で筆者は40種類の法則をあげている。(以下参照)
小生が思うに、共通して言えること、つまり頭がいい人と悪い人をわけるポイントは、想像力があるかないかだろう。
自分が話をするとき、「相手がどう思うか」「相手は何を考えるか」「相手はどういう気持ちか」を考えて話すと、自然と以下の40の法則はクリアしていくはずだ。ある程度話すことになれている人が読むと、ある種腹立たしさを感じることがあるかもしれない。
そして、小生は本書で一種の矛盾を見た。
それは、「頭がいい人ほど本書を手に取り、頭が悪い人ほど本書(のような本)を手に取らない。本書は「頭が悪い人」向けに書かれているため、本書を読んだ頭のいい人は「まぁそりゃそうだよね、今度からさらに気をつけよ」と思い、頭の悪い人は本書を読まないので頭が悪いままになる。こうして格差は拡大する。」ということだ。
バカはまず自分がバカであることを認識しなければならないが、
バカはこれを認識することができないためずっとバカのままというパラドクスに陥るのだ。
<本書内で言及されている40の法則>
- 道徳的説教ばかりをする
- 他人の権威を笠に着る
- 自分を権威づけようとする
- 自分の価値観だけですべてを判断する
- 根拠を言わずに決めつける
- ケチばかりつける
- 少ない情報で決めつける
- 具体例を言わず、抽象的な難しい言葉を使う
- 詭弁を用いて自説にこだわる
- 矛盾に気づかない
- 難解なことを言って煙に巻く
- 知ったかぶりをする
- すんだことをいつまでも蒸し返す
- 何でも勘ぐる
- 感情に振り回される
- 優柔不断ではっきり言わない
- 自分のことしか話さない
- 相手が関心のないことを延々と話す
- 低レベルの解釈をする
- 何かにつけて目立とうとする
- 自慢ばかりする
- 強がりばかり言う
- 人の話を聞かない
- おべっかばかりで自分の意見を言わない
- 感情の起伏が激しい
- 正論ばかりをふりかざす
- ありふれたことしか言わない
- ぐずぐずと話して何を言いたいのかわからない
- どんな正論もいつもの話にもっていく
- 差別意識を口に出す
- 人の考えをすぐうのみにする
- 感動癖がある
- 善人になりたがる
- 丁寧すぎる
- 現状を正確に捉えられない──心配性と能天気
- 視野が狭い
- その場その場でしか反応しない
- きれいごとの理想論ばかりを言う
- スポーツ新聞などの知識を自分の意見のように話す
- バカでよいと居直る
49.お前なんかもう死んでいる ~プロ一発屋に学ぶ50の法則~
前回投稿したお笑いシリーズの一環で、有吉さんの書籍を紹介。
<要約>
猿岩石として、ヒッチハイクの旅で大ブレークも、その後大転落し、数年引きこもり同然の生活をつづけた有吉さん。
しかし、いわゆる「おしゃクソ事変」をきっかけに毒舌キャラで大ブレーク。
いまや大物司会者の仲間入りを果たした有吉さんが、どん底時代を振り返り、芸能界で生き残るための法則を記した1冊です。
実は小生、有吉さんが大好きです。
一度落ちぶれたにもかかわらず、運とチャンスをつかんで、のしあがってきた。
本人は、「実力なんて関係なくて、運がいいかどうかだけ」と言っています。天才なんでしょう。彼の破天荒な生きざまに心を奪われました。
ただし、我々が読むときに注意したいことは、これはあくまで芸能界で生き抜くための法則にすぎないということです。 サラリーマンにも参考になる部分はもちろんありますが、決してあてはめようとしてはいけません。
彼はどん底時代を経験しているため、「とにかくお金をためろ」と言います。将来何が起こるかわからないからと。
ここからは小生の意見ですが、将来に備えて蓄えを持っておくことは非常に大切です。それは、お金・資産・知識問わずです。特に20代のうちに蓄えを作りましょう。(作っておこう。)
ちなみにAmazonPrimeで配信中の、「有吉弘行のぬるま湯大作戦」、ネットでは大バッシングを食らっていますが、個人的には大好きです。笑
前回の「とんねるずと『めちゃイケ』の終わり 〈ポスト平成〉のテレビバラエティ論」の記事で、"最近のテレビではバカなことにお金をかけまくることがなくなって残念"みたいなことを書きましたが、この作品はバカなことにお金かけまくってます。笑
気になる人は見てみてください。あと、有吉さん猿岩石時代のヒッチハイク動画もYouTubeであがってるみたいなので、こちらも暇な人はぜひ!
48.とんねるずと『めちゃイケ』の終わり 〈ポスト平成〉のテレビバラエティ論(ラリー遠田・イースト新書)
一時期はやっていたお笑いシリーズ。今回もその続きです。
前回記事はこちら↓↓↓
tacoreading.hatenablog.com
<要約>
「めちゃイケ」が終わり、「とんねるずのみなさんのおかげでした」が終わり、小生と同世代(いわゆるミレニアル世代)の皆さんはもの悲しさを覚えている人も多いのではないだろうか。
本書ではお笑い評論家のラリー遠田氏がその原因を解明していく。
結局、一言でいうと「世の中の価値観が多様化したから」。これにつきる。
世の中の人気メディアがテレビからYouTube、Netflix、Hulu、AmazonPrimeに移ってきているのもその証拠だ。
特に「とんねるずのみなさんのおかげでした」は、スタッフや共演者をいじる内輪ネタの感じと、パワハラともとられかねないくだりの数々が、世の中に受け入れられなくなったためだと筆者は分析する。ちなみに、小生はこういうくだりが結構好きだっただけに残念でならない。
また「めちゃイケ」は、ナイナイ以外素人同然の出演者たちがチームワークで企画をクリアしていく感覚が人気を博した理由だったのにも関わらず、各出演者が人気になりすぎてしまったことが凋落と打ち切りの原因だという。
あの頃のテレビはおもしろかったんだけどなぁ、、
バカみたいなことを真剣に、金使ってやるのがテレビの面白さだったのでは?
小生は今のテレビには愛想をつかし、家にテレビをおいていない。
「あの時代は戻ってこない...」今を必死に生きることが一番だ。
47.非鉄金属業界大研究[新版](一柳 朋紀・産学社)
いわゆる"業界本"に手を出してみました。
<要約>
銅・アルミに代表される非鉄金属。
鉄鋼新聞社の記者である筆者が、各金属の特徴とマーケット情勢について事細かに記載しています。
代表的な非鉄金属である銅・アルミの情報を多めに、ニッケル・亜鉛・チタンなどその他の非鉄金属やレアアースについても詳細な記述があり、非鉄金属業界を知るには120点満点の内容です。
ところどころ注釈なく専門用語が使われているところがありやや読みづらい部分がありますが、非鉄金属メーカーに興味がある学生や就職した社会人1年目はもちろん、取引先など仕事上でつながりがある方、我々の生活に意外と身近な非鉄金属業界の情勢を知りたい方などなど、是非一度は手に取ってもらいたい1冊です!
<本文抜粋&所感>
- EVにおいては、(車に占める非鉄金属割合が重量ベースで)10%から30%程度に高まるとの見方が有力
→EV化によって鉄鋼メーカーは割を食わされる一方、非鉄金属メーカーは業界構造の変化にいち早く対応し需要を刈り取れるかがポイントだ - 経済の大きな変化を敏感にキャッチし、将来予測を立てるうえで銅が欠かせない金属
→銅の指標は経済の先行指標らしい。経済の先行きが気になった時は銅の価格をチェックしよう。 - 日本で現在、商業ベースで大規模な操業を行う主要非鉄金属の鉱山は、住友金属鉱山が手掛ける金鉱山の鹿児島県・菱刈鉱山だけだ
→逆にまだ日本で操業している鉱山があることが驚き。かつては別子銅山など有名鉱山が多々あった。 - 現在は日本国内でアルミ精錬は行われていないため(中略)海外アルミメーカーから新地金を輸入し、加工を行う事業モデルとなっている
銅の場合は、海外から鉱石を買い付けて、日本国内で製錬して銅地金(電気銅とも言う)を生産する製錬所が存在する。 - 主な非鉄金属の売買価格は、ロンドン金属取引所(LME=London Metal Exchange)での市場価格を基準に決まる
- ワイヤーハーネスは、日本メーカーのシェアが世界で約半分(矢崎総業と住友電工が各3割、古河電工とフジクラが数%)
→車の神経といわれるワイヤーハーネスは日本が強い。Japan as No.1の時代が終わって久しいが、まだまだ強みをもつ分野は存在しており、当該分野は今後も維持することが国策としてでも取り組むべき必要命題 - 自動車の軽量化に向けてアルミの採用が増加しており、市場の伸びに合わせた事業拡大の検討が必要
→事業構造の変化を読み取って戦略をたてることは、当業界に限らずどこでも必要なこと。経営者は考えることが多いが、個人的には経営の経験は人生の中で一度はあってもいいのではないかと考えている。
雑誌4.日経ビジネス 2020年1月20日号(日経BP社)
<要約>
今回のメイン特集は、ウェルマートのDXによる逆襲です。
DXとはデジタルトランスフォーメーションの略。IT×既存の資産を生かすことによって、GAFAをはじめとするインターネット企業に勝っていこうという試みです。
ウォルマートはAmazonをはじめとするインターネット企業においやられ、もはや時代遅れのビジネスとも揶揄されていました。
しかし、店舗×デジタルを軸に、「オンライン・グローサリー・ピックアップ(OGP)」とよばれる仕組みを構築。これは、インターネット上で商品を注文すると、店員がピックアップしてかごにいれておき、客は取りに行くだけでいいという仕組みです。まさに、負の遺産と思われていた店舗を配送センターに発想転換し、成功した事例でしょう。
今後の小売業にはデジタルの活用が必要不可欠です。
管理会計にシステムを導入するのはもちろん、店舗にカメラを設置しAIで分析する等も必要になってくるだろう。
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<本文抜粋&所感>
- ホテルが供給か増に陥りつつあるという特集
- 背景にインバウンドの成長鈍化がある。アジア間の旅行が盛んになり、台湾や香港からの旅行先が東南アジアなどにシフトしたうえ、日韓関係の悪化で韓国人客が激減した。
- 稼働率が90%を超えるとマンションやオフィスに比べ(ホテルは)圧倒的に魅力的な投資対象になる
- (ホテル業界は)大手とその他の二極化が激しい。郊外の小規模ホテルが減り、都心や県庁所在地の、大型で新しい施設が増えるという中期的な業界の構造が見え始めている。
- HIS会長兼社長 澤田秀雄氏の特集
- ニッチを攻めてナンバーワンになれば、知名度が上がります。
- (ハウステンボスの社長に)着任してすぐに全スタッフを集めて、3つのことを話しました。まずは、嘘でもいいから明るく元気に働くこと。次は掃除。発展している会社や工場はオフィスがきれいです。最後に経費削減です。
46.戦略的コーポレートファイナンス(中野誠・日経文庫)
<要約>
お金の現在価値の考え方にはじまり、企業も投資家からすれば投資の対象であり、リスクフリーレート、つまり国債利回り以上のリターンが求められている(ROE)という話、日本企業のROEは海外比で低水準にあること(積極的にリスクをとっている企業が少ないため)、ROEと最適資本構成(DeadとEqityの最適比率)、左の代表的理論であるMM理論、そして近年の経営指標の潮流の変化(財務的な価値だけではなく社会的意義に価値を見出す)が語られている。
ファイナンスの入門者は①現在価値、②D/Eレシオ・WACCの概念とMM理論を理解できれば入りとしては十分だろう。本書は物語形式で読みやすく、入門書として評価が高いと思われる。
<本文抜粋>
- 現金を保有していることがリスクを低減させます。ゆえに、事業の多角化を進めていない専業企業、事業リスクが極めて高い企業が現金を保有するのは、財務的破綻を回避するという意味では、経済的な合理性があると考えらえれます。
- アップルは市場性ある有価証券を大量に購入しつつ、同時に売却もしています。技術開発力の高いベンチャー企業、生産協力工場などに出資するとともに、ダイナミックに投資のポートフォリオを入れ替えている点が想像されます。
- 10年間の平均買収プレミアムは、米国で36%、日本で20%と報告されています。
- MM第1命題:法人税がない場合、資本構成は企業価値には影響しない
- MM第2命題:法人税がない場合、借入れを行っている企業の株式の期待収益率は、市場価値で示されたD/Eレシオに比例して増加する
- 法人税がある場合には、第1命題では負債を用いると節税効果分だけ企業価値が高まる。第2命題では株主資本コストは財務レバレッジに比例して上昇。
- 平均的な企業の株主資本コストは8%前後
- 事業リスクが高い企業ほど株式ベータは高くなります。(中略)固定費の割合が高いほど業績の変動性が高まり、株式ベータも高くなります。
45.図解で学ぶ ドラッカー入門(藤屋伸二・日本能率協会マネジメントセンター社)
<要約>
巷にはドラッカーを語った本があふれているが、この本は一番わかりやすい反面、一番稚拙。読みにくい本は著者の頭の悪さの鏡だ。頭がいい人(往々にしてコンサルタントであることが多い)が書いた本は伝えたいポイントが明確で、かつスラスラ読める。
本書は経営戦略に相当理解がない向けの本と心得た方がいいため、それなりの知識を持っている人は流し読み程度で十分だろう。
愚痴を言ってもはじまらないので、一応以下に要約しておく。
ドラッカーは人が組織のベースとなっているという前提のもと、
組織・会社は自社の強みを生かした選択と集中によって生き残れると説く。
各論は様々あるが、特に印象に残ったのは事業を評価する5つの手法。
①市場での事業の地位、②イノベーションの成績、③生産性、④流動性とキャッシュフロー、⑤収益性
次に印象に残っているのは、リーダーに共通している条件。それは「やるべきことをやっていること」というシンプルなもの。
各論の中で印象に残るのはそれぞれ異なるだろう。ドラッカーはどれも大切な真理を述べていることに違いはない。
この手の経営戦略にかかる本は、「自分の今の会社にあてはめるとどう考えられるか?」「自分で会社をするとすればどう応用できるか?」を考えながら読むと定着が早い。人は、たとえ疑似的でも経験してみてはじめて知識を身に着けることができる生き物だ。
<本文抜粋&所感>
- (ドラッカーの思想)人は自分の価値観に従い、自分の強みで社会に貢献する責任があり、それが本当の幸せなのだ
- 企業は市場の成長率を維持しているかぎり、それ以上の規模的拡大の必要性はありません
→無意味な多角化、M&Aは企業の破滅を招く。身の丈に合った経営を推進する必要がある。 - 生産性の向上=コスト率の低下
- 厳しい経営環境下で勝ち残る方法はただ一つ、「強みの分野を選択」し、それに「経営資源を集中的に投入する」こと
- 選んで頂くためには、商品価値と価格との関係で割安感が必要になってきます。(中略)その魅力的な割安感を創出するのが、「独自化」と「差別化」です。
- 不透明で、何をすればよいのかわからない経営環境下だからこそ、「あるべき姿」を決める
→特に多角化した企業ほどビジョンを明確にし、各事業のKPIの方向性がぶれないようにする必要があります。 - トップを維持するためには、トップに押し上げた成功体験を捨てる覚悟で、徹底した事業の分析と思考が必要
- 人口構造の変化は、すべてに優先するイノベーションのチャンス(中略)人口の増減だけは、数十年後まで確実に予測することができます。
- たとえニッチだとしても、最初からその分野のトップをねらわないかぎり、真のイノベーションという発想・商品にはなりません。
→リーダー、フォロワー、ニッチャーという議論があるが、いずれにせよトップを目指し続ける思考が必要。 - 多角化をめざす事業展開はやらない方が賢明(中略)あくまでも戦略の原理原則にそって事業展開するべき
- 「どのような顧客に」「どのような効用」(問題解決の手段)を提供するのかのマーケティング志向が欠かせません。
→商売はいかに顧客志向でいられるかなんですよね。。結局モノやサービスを買ってもらえないと始まらないわけですから。市場競合云々以前に、ごくシンプルな真実ですよね。