3分リーディング

3分間で1冊の本の内容を把握できるように書きます。雑誌についてもたまに。

47.非鉄金属業界大研究[新版](一柳 朋紀・産学社)

いわゆる"業界本"に手を出してみました。

<要約>
銅・アルミに代表される非鉄金属
鉄鋼新聞社の記者である筆者が、各金属の特徴とマーケット情勢について事細かに記載しています。
代表的な非鉄金属である銅・アルミの情報を多めに、ニッケル・亜鉛・チタンなどその他の非鉄金属レアアースについても詳細な記述があり、非鉄金属業界を知るには120点満点の内容です。
ところどころ注釈なく専門用語が使われているところがありやや読みづらい部分がありますが、非鉄金属メーカーに興味がある学生や就職した社会人1年目はもちろん、取引先など仕事上でつながりがある方、我々の生活に意外と身近な非鉄金属業界の情勢を知りたい方などなど、是非一度は手に取ってもらいたい1冊です!

非鉄金属業界大研究[新版]

非鉄金属業界大研究[新版]

  • 作者:一柳 朋紀
  • 出版社/メーカー: 産学社
  • 発売日: 2019/02/27
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 <本文抜粋&所感>

  • EVにおいては、(車に占める非鉄金属割合が重量ベースで)10%から30%程度に高まるとの見方が有力
    →EV化によって鉄鋼メーカーは割を食わされる一方、非鉄金属メーカーは業界構造の変化にいち早く対応し需要を刈り取れるかがポイントだ
  • 経済の大きな変化を敏感にキャッチし、将来予測を立てるうえで銅が欠かせない金属
    銅の指標は経済の先行指標らしい。経済の先行きが気になった時は銅の価格をチェックしよう。
  • 日本で現在、商業ベースで大規模な操業を行う主要非鉄金属の鉱山は、住友金属鉱山が手掛ける金鉱山の鹿児島県・菱刈鉱山だけ
    →逆にまだ日本で操業している鉱山があることが驚き。かつては別子銅山など有名鉱山が多々あった。
  • 現在は日本国内でアルミ精錬は行われていないため(中略)海外アルミメーカーから新地金を輸入し、加工を行う事業モデルとなっている
    銅の場合は、海外から鉱石を買い付けて、日本国内で製錬して銅地金(電気銅とも言う)を生産する製錬所が存在する。
  • 主な非鉄金属の売買価格は、ロンドン金属取引所(LME=London Metal Exchange)での市場価格を基準に決まる
  • ワイヤーハーネスは、日本メーカーのシェアが世界で約半分(矢崎総業住友電工が各3割、古河電工フジクラが数%
    車の神経といわれるワイヤーハーネスは日本が強いJapan as No.1の時代が終わって久しいが、まだまだ強みをもつ分野は存在しており、当該分野は今後も維持することが国策としてでも取り組むべき必要命題
  • 自動車の軽量化に向けてアルミの採用が増加しており、市場の伸びに合わせた事業拡大の検討が必要
    →事業構造の変化を読み取って戦略をたてることは、当業界に限らずどこでも必要なこと。経営者は考えることが多いが、個人的には経営の経験は人生の中で一度はあってもいいのではないかと考えている。