3分リーディング

3分間で1冊の本の内容を把握できるように書きます。雑誌についてもたまに。

45.図解で学ぶ ドラッカー入門(藤屋伸二・日本能率協会マネジメントセンター社)

<要約>
巷にはドラッカーを語った本があふれているが、この本は一番わかりやすい反面、一番稚拙。読みにくい本は著者の頭の悪さの鏡だ。頭がいい人(往々にしてコンサルタントであることが多い)が書いた本は伝えたいポイントが明確で、かつスラスラ読める。

本書は経営戦略に相当理解がない向けの本と心得た方がいいため、それなりの知識を持っている人は流し読み程度で十分だろう。

愚痴を言ってもはじまらないので、一応以下に要約しておく。
ドラッカーは人が組織のベースとなっているという前提のもと、
組織・会社は自社の強みを生かした選択と集中によって生き残れると説く
各論は様々あるが、特に印象に残ったのは事業を評価する5つの手法。
①市場での事業の地位、②イノベーションの成績、③生産性、④流動性キャッシュフロー、⑤収益性
次に印象に残っているのは、リーダーに共通している条件。それは「やるべきことをやっていること」というシンプルなもの。

各論の中で印象に残るのはそれぞれ異なるだろう。ドラッカーはどれも大切な真理を述べていることに違いはない。
この手の経営戦略にかかる本は、「自分の今の会社にあてはめるとどう考えられるか?」「自分で会社をするとすればどう応用できるか?」を考えながら読むと定着が早い。人は、たとえ疑似的でも経験してみてはじめて知識を身に着けることができる生き物だ。

図解で学ぶ ドラッカー入門

図解で学ぶ ドラッカー入門

 

<本文抜粋&所感>

  • ドラッカーの思想)人は自分の価値観に従い、自分の強みで社会に貢献する責任があり、それが本当の幸せなのだ
  • 企業は市場の成長率を維持しているかぎり、それ以上の規模的拡大の必要性はありません
    →無意味な多角化M&Aは企業の破滅を招く。身の丈に合った経営を推進する必要がある。
  • 生産性の向上=コスト率の低下
  • 厳しい経営環境下で勝ち残る方法はただ一つ、「強みの分野を選択」し、それに「経営資源を集中的に投入する」こと
  • 選んで頂くためには、商品価値と価格との関係で割安感が必要になってきます。(中略)その魅力的な割安感を創出するのが、「独自化」と「差別化」です。
  • 不透明で、何をすればよいのかわからない経営環境下だからこそ、「あるべき姿」を決める
    →特に多角化した企業ほどビジョンを明確にし、各事業のKPIの方向性がぶれないようにする必要があります。
  • トップを維持するためには、トップに押し上げた成功体験を捨てる覚悟で、徹底した事業の分析と思考が必要
  • 人口構造の変化は、すべてに優先するイノベーションのチャンス(中略)人口の増減だけは、数十年後まで確実に予測することができます。
  • たとえニッチだとしても、最初からその分野のトップをねらわないかぎり、真のイノベーションという発想・商品にはなりません
    →リーダー、フォロワー、ニッチャーという議論があるが、いずれにせよトップを目指し続ける思考が必要。
  • 多角化をめざす事業展開はやらない方が賢明(中略)あくまでも戦略の原理原則にそって事業展開するべき
  • 「どのような顧客に」「どのような効用」(問題解決の手段)を提供するのかのマーケティング志向が欠かせません。
    →商売はいかに顧客志向でいられるかなんですよね。。結局モノやサービスを買ってもらえないと始まらないわけですから。市場競合云々以前に、ごくシンプルな真実ですよね。