3分リーディング

3分間で1冊の本の内容を把握できるように書きます。雑誌についてもたまに。

46.戦略的コーポレートファイナンス(中野誠・日経文庫)

<要約>
お金の現在価値の考え方にはじまり、企業も投資家からすれば投資の対象であり、リスクフリーレート、つまり国債利回り以上のリターンが求められている(ROE)という話、日本企業のROEは海外比で低水準にあること(積極的にリスクをとっている企業が少ないため)、ROEと最適資本構成(DeadとEqityの最適比率)、左の代表的理論であるMM理論、そして近年の経営指標の潮流の変化(財務的な価値だけではなく社会的意義に価値を見出す)が語られている。
ファイナンスの入門者は①現在価値、②D/Eレシオ・WACCの概念とMM理論を理解できれば入りとしては十分だろう。本書は物語形式で読みやすく、入門書として評価が高いと思われる。

戦略的コーポレートファイナンス (日経文庫)

戦略的コーポレートファイナンス (日経文庫)

 

<本文抜粋>

  • 現金を保有していることがリスクを低減させます。ゆえに、事業の多角化を進めていない専業企業、事業リスクが極めて高い企業が現金を保有するのは、財務的破綻を回避するという意味では、経済的な合理性があると考えらえれます。
  • アップルは市場性ある有価証券を大量に購入しつつ、同時に売却もしています。技術開発力の高いベンチャー企業、生産協力工場などに出資するとともに、ダイナミックに投資のポートフォリオを入れ替えている点が想像されます。
  • 10年間の平均買収プレミアムは、米国で36%、日本で20%と報告されています。
  • MM第1命題:法人税がない場合、資本構成は企業価値には影響しない
  • MM第2命題:法人税がない場合、借入れを行っている企業の株式の期待収益率は、市場価値で示されたD/Eレシオに比例して増加する
  • 法人税がある場合には、第1命題では負債を用いると節税効果分だけ企業価値が高まる。第2命題では株主資本コストは財務レバレッジに比例して上昇。
  • 平均的な企業の株主資本コストは8%前後
  • 事業リスクが高い企業ほど株式ベータは高くなります。(中略)固定費の割合が高いほど業績の変動性が高まり、株式ベータも高くなります。