3分リーディング

3分間で1冊の本の内容を把握できるように書きます。雑誌についてもたまに。

19.Q&A事業再生のための小売業の事業デューデリジェンス(大間 清浩 (著), 平野 敦士 (監修)・中央経済社)

小売を極めてみました。最近更新頻度鈍っていてスミマセン。

<要約>
小売業の事業DDにとどまらず、小売業コンサルティングのノウハウをかなり広い論点まで含め紹介している1冊。
ただし、1つ1つの論点への深堀はそこまでなので、全体像をとらえるのに最適と思われる。
筆者は中小企業の再生をメインに扱う公認会計士だが、考え方自体は大企業にも適用することが可能。個人的には、最終アウトプット例がWord形式だったため、いかにも「中小企業向け」という感じがして少し萎えた。
広く浅くという感じで、「そこまで検討する?」という論点も含まれるが、私のような小売業初心者にとっては学びが多いはずだ。

Q&A事業再生のための小売業の事業デューデリジェンス

Q&A事業再生のための小売業の事業デューデリジェンス

 

<本文抜粋&所感>

  • 店舗コンセプトのターゲットへの適合性、顧客対応力の水準が小売店の価値を定める
  • 取扱品目は、最寄品、買回品、専門品の3種類
  • 百貨店では、生命線である衣料品の品揃え強化が急務である。これまでブランドイメージがそぐわないとされていた若者向けファストファッションブランドの導入などで集客力強化、比較的堅調な食品フロアの販売強化などが生き残り策の柱となる
  • ホームセンターでは、ペット用品や介護用品といった成長分野に向けた商品構成の見直しなどによって既存店売上を維持することが求められる
  • 売店の場合、立地環境が収益に影響を与えることが多い
  • 取り扱う商品カテゴリーと対象消費者群を設定することが小売業のマーケティング
  • 入店客数の増大には、「強烈な個性」が必要
  • 小売業では、一般的に販売費及び一般管理費の50%は人件費が占める
  • マーチャンダイジング活動は小売業の生命線となる活動といえる。具体的には、店舗コンセプト、品揃えコンセプトに沿って購買部門が年間、月別の品揃え計画を立案し、販売部門が週、日単位で、消費者のニーズの変動を読み、きめ細やかな品揃えの修正を行う
  • 業績変動要因の見極め方
    ①顧客の視点、②仕入先の視点、③自社の強みに関する視点
  • 最寄品商圏:徒歩10~15分程度
    買回品商圏:自転車で10~15分程度
  • 商圏の分析:定量的な分析では、商圏内を町丁別に分け、それぞれのエリアでどれだけの購買力が期待でき、そのうち自店がどれだけのシェアを得られているのかを測定する
  • 競合分析の目的:①対象顧客のニーズ把握、②競合店の工夫を知る、③差別化ポイントの明確化
  • 企業収益が悪化するパターン
    ①売上が費用を回収する水準まで伸びていない
    ②1人当たりの売上高は低い水準でないのに利益が出せない
    ③表面上の損益に大きく問題があるわけではないのに資金的に窮する
  • 売店での顧客分析:デシル分析
  • 売上高営業利益率:取扱品目、業態に関係になく、優良企業の場合は概ね3~5%の水準となっている。1%程度の数字は実際には赤字と考えた方がよい。
  • 人件費について:それぞれの事業の仕事に80~100%関わっている場合、直接人員と定める
  • 売上高損益分岐点比率:小売業の場合、黒字企業平均が7%、前後、優良企業になると15%前後
  • 事業再生は短期勝負である。抜本的な体質改善には時間がかかることはあっても、1,2年で単年度黒字化できなければ、取引先、金融機関の支援を継続して受けることは難しくなる
  • 資料依頼:あらかじめ要請する資料をリストにまとめ、時間的な余裕を見込んで計画的に要請しなければならない
  • ヒアリングの対象選定:事前に組織図を入手し、ヒアリングの対象者をリストアップしておく
  • 事業再生計画立案の際のポイント:初年度は現状売上高、売上総利益の90%程度の水準からスタートし、3年後でも売上高、売上総利益は現状水準並みとして計画すべきである。すなわち、大幅な経費削減を軸として、現状の売上高の維持で僅かでも営業利益が黒字となるよう計画する