3分リーディング

3分間で1冊の本の内容を把握できるように書きます。雑誌についてもたまに。

17.小売再生 ―リアル店舗はメディアになる(ダグ・スティーブンス (著), 斎藤栄一郎 (翻訳)・プレジデント社)

Amazonを中心としたECサイトが小売を駆逐するようになってしばらくたち、今となっては「ネットで買うのが当たり前」という時代になっています。
そんな時代の中で、今後小売業はどのように生き残っていけばいいのか?
この問いにポジティブな考えを持つ筆者が、小売の未来を語った至極の書籍です。
私たちの日常生活に密接な関わり合いをもつ小売業界だからこそ、一度はこの本を手に取ってみるべきではないかと思います。
(※小売…スーパーマーケット、デパート、百貨店など)

<要約>
小売専門のコンサルタントの筆者が今後の小売業界のあり方について語った1冊。
巨人Amazonの登場により、一見するとエンドゲームの業界に思われる小売業。しかし、筆者はむしろ今後の小売業は明るいといいます。
人々がデジタルに触れる時間があまりにも長くなった結果、消費者は逆に"リアル"の体験を求めるようになると。
タイトルにもある通り、今後、店舗は「メディア」として機能していく。小売業者はそれを見通して戦略を構築する必要があると説いています。

小売再生 ―リアル店舗はメディアになる

小売再生 ―リアル店舗はメディアになる

 

<本文抜粋&所感>

  • (筆者は小売業者に対して)革新的な体験を創り出すか、コモディティ化を突き進むかという、情け容赦のない選択を迫る
  • ショッピングの本来の楽しみは、妥当性と偶発性の絶妙なバランスにある
    →ショッピングに行った際、「自分が買いたいものを買う」という楽しみと「全く知らなかった"いい感じ"の商品に出会う」の2つの楽しみがある。両者をバランスよく味わえるのがリアル店舗の醍醐味である。
  • 実店舗は身体性を大事にし、製品に対して本能的に「触れる」、「試す」、「感じる」、「体験する」という行為が楽しめないといけない
    →いわゆる「コト消費」。小売業にも、ディズニーランドのような体験価値が求められる時代となっているようです。
  • ショッピングセンターはエンターテインメント第一で、小売は二の次の場でなければならない。なぜなら、エンターテインメント重視の場でなければ、客がモールに足を運ぶ理由がほとんどなくなるからだ。
  • 未来のショッピング空間は製品の試用や触発・啓蒙活動がこれまでにないレベルに高まり、買い物客が製品を触ったり試したりすることのできるクリエイティブで楽しい場になる。
  • 無理に売りつけようとすればするほど、小売店としては逆効果
  • オムニチャネル型の顧客体験のようなものはお払い箱だ。もはや買い物客がチャネルの違いを意識しながらブランドを体験するような時代ではない(中略)小売業者はチャネルの視点から新たな顧客体験を考えるのではなく、ブランドと消費者の関わり合いや遭遇の瞬間こそ、正念場と捉えなければならない。
    →今後の小売=オムニチャネル化という思考停止マンはもはや不要。商品との出会い、体験に重きを置いた戦略が重要である
  • 優れた小売業者は、先細りになる一方の商品販売マージンにのみ頼るのではなく、ライブの店内体験を提供し、その効果を測るというアイデアで経済モデルを構築するようになる。優れた小売業者が扱う商品や最大のカテゴリーは、基本的に体験そのもの
  • 商品をどう売るか。これこそが競合との究極の差別化になり、消費者の心をつかむポイントになる
  • 小売は死んでいない。まったく逆だ。あえて言うなら脱皮中である。