3.論点思考(内田和成・東洋経済社)
昨日の仮説思考とセットの1冊。
本文中にも言及されていますが、仮説思考は問題解決に力点を置いた本であり、論点思考は問題発見に力点を置いた本、という棲み分けです。
<要約>
論点思考は議論や思考の際のみならず、調査の際にも必要な考え方です。
適切な論点を設定し、重要度に応じて工数を調整する。限られた期間で最高の成果を求められるコンサルタントには必要不可欠な考え方だと思います。
同じ問題に取り組んでいても、論点の設定次第で出てくる答えが変わってくるものです。ジュニアのコンサルタントであれば、マネージャーが設定した大論点の中でいかに適切な中論点、小論点を設定することができるかが大切になってくるのではないでしょうか。
<本文抜粋&所感>
- コンサルタントの世界では、与えられた問題の分析ができ、その問題が解決できるというだけでは、コンサルタントとして半人前だといわれている。一流のコンサルタントは、論点がなにかを見つけだす能力に優れている
→適切な論点の設定が作業成否の半分程度を占めているのではないか。手を動かす前に考えることを徹底的にやりたい。 - 顧客の論点や上司の論点は疑ってかかった方が、早く答えにたどり着く。
→内田さんのようなインテリギャングになることは必要悪かもしれない。私も入社当時よりはだいぶ尖ることができたが、まだ丸い方だと思う。ただし、能力もないのに尖ってるやつはただの痛いヤツ(実際、周りにもこのような勘違いコンサルタントは結構いる)ので、尖り具合にも注意を払うことが必要だ。 - 同じ論点がどんどん深まっていくケースと、論点が転調する、すなわち他の論点に目を向ける必要が生じるケースがある。
→たしかにある。今の議論はどういう方向に向かっているのかを考えることが大切。 - (良い論点の条件として)①解決できるか、できないか。②解決できるとして実行可能(容易)か。③解決したらどれだけの効果があるか。(中略)大事なことは、難問をクリアすることではない。仕事で成果を出すことが大事だ。
→可能性と効果への意識。いたずらに論点を設定したらいいというわけではない。 - 仕事と作業は違う。仕事をしていると、どうしても「作業屋」になってしまうリスクがある。(中略)なにか目的があってその手段を使っているのであって、目的と手段を取り違えてしまうとまずい。
→ジュニアコンサルタントが一番陥りやすいのは作業屋になってしまうこと。常に自分が生み出している付加価値は何か、この作業によってクライアントにどういう効用が生み出されるのかを考えなければならない。 - 私は自分が教えてくれるビジネススクールの学生たちに、つねに実際の自分よりも二つ上のポジションに就いているつもりで仕事をするようにといっている。
→私も先輩コンサルタントから聞いたことがある。スタッフであればマネージャー以上の視点をもって仕事をすることが必要だろう。スタッフ全員がマネージャーの意識を持つことができれば、いいチームになると思う。 - クリームスキミング(収益性の高い分野のみに業務を集中させいいとこ取りをすること)やチェリーピッキング(収益性の高い分野だけを選ぶこと)という。
- ある物事を主張するときに、自分がどういう論点構造の中でなにを主張しているのかを考えることが極めて重要
- コンサルタントの場合は、中論点を与えられて小論点に分解していく能力のある人が、優秀なコンサルタントで、中論点を与えられてもまだどうしてよいかわからず、小論点まで与えてあげないといけないのがジュニアのコンサルタント