15.M&Aを成功に導く ビジネスデューデリジェンスの実務(第4版) (PwCアドバイザリー合同会社・中央経済社)
本日はBDDの教科書をご紹介
<要約>
ビジネスデューデリジェンスの手順と留意点を明確化した1冊。BDDにとどまらず、DD全般やFAにおいて必要な考え方も明記されており、内容としては相当リッチである。
Big4系FASのM&A戦略部門が書いているが、戦略コンサルティングファームの方々にもお勧めしたい。時折出てくる言い回しや、章の間にあるコラムも面白い。
M&AでDDの実務を担当する方は一度目を通しておくべき。
M&Aを成功に導く ビジネスデューデリジェンスの実務(第4版)
- 作者: PwCアドバイザリー合同会社
- 出版社/メーカー: 中央経済社
- 発売日: 2018/09/20
- メディア: 単行本
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<本文抜粋&所感>
- 仮説構築におけるクイック調査では、新聞記事検索が有効である。
→新聞記事に限らず、Google検索でさっと調べるだけでも有効である。小生は、以前ご紹介したリサーチに関する本2冊を読んでからだいぶ勘所は掴めるようになってきている。やはり、教科書的な本には目を通しておくべきだ。 - 市場動向分析においては、
・市場成長のドライバーになっているものは何か
・現状のトレンドが変化するとしたらどのような要因が考えられるか
・市場(顧客)のニーズが変化する可能性はないか - 市場規模の算出にあたりおおむね2種類の統計が存在する。1つは、需要(買い手)サイドから算出した統計であり、もう1つは供給(売り手)サイドから算出した統計である
- 供給サイドからの市場規模:業界プレイヤーの顔ぶれがある程度固定化されている成熟産業の市場規模を算出する際に利用される
- 需要サイドからの市場規模:企業が取りこぼしている市場や認識していない潜在的な需要や代替品市場を定量化することができる
- BtoC企業
一般的なKBF:取り扱い商品数・豊富な品揃え、店頭での接客・サービスの質
ドライバー:1店舗あたりの売り場面積、販売客数/店員1人あたりの接客数、販売額/販売客数 - 回転日数は、特段の変動要因が見込まれない場合は過去3年程度の平均値を計算し、その回転日数を計画期間を通じて一定と置くことが多い
- 投資ファンドによるM&A取引においてコストシナジーが重視されるのは、イグジットまでの限られた期間の中では、売上シナジーよりもコストシナジーの方が確実性が高いため
- 法的整理時:債権放棄が債権者の経済合理性に適うか否かが最大の論点となるため、債権者の経済合理性の判断基準である「清算配当率(債権に対する利回り)」が、破産時と比較して高いことを確認する
- 管理会計と財務会計のズレは、本社経費の配賦方法や計上する費用項目の違いに起因することが多い
→このようなディールに関わるものにとって、一番怖いのは数字が合わないことだ。ここには全神経を集中させて取り組みたい。 - FCF=①税引後営業利益+②減価償却費-③設備投資額±④運転資本増減額